オメでたい頭でなにより│オメでたい頭でなにより 公式FC「オメオメCLUB」

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2023.4.4「大寿祭」オフィシャルライブレポート

2023.04.09

今年の1月8日、EX THEATER ROPPONGI公演で開催が発表された『大寿祭』。この時のぽにきんぐだむのMCを最初に引用しておこう。「新しいライブハウスのあり方をもう一度ゼロから作っていこうと思います。昔に戻りたい、戻したいという想いはありますけど、過去ばっかり見るんじゃなくて、みんなと新しいライブハウスをこれから作っていきたいと思います。『大寿祭』を最高のイベントに育てたいと思います。もう1回俺たちが始まった場所、ライブハウスからやり直します。1からっていうかゼロからですよ」――この言葉の意味が示された空間が、4月4日の新宿LOFTだった。オメでたい頭でなによりのメジャーデビュー5周年公演でもあったこのライブの模様をレポートする。

マーチングアレンジが施された「ザ・レジスタンス」のオープニングSEが流れ始めるや否や、フロアから沸き起こったオメっ子(オメでたファンの呼称)の手拍子。ミト充(Dr)、mao(Ba)、324(Gt)、ぽにきんぐだむ(Gt&Vo)、赤飯(Vo)の順で登場したメンバーたちを歓声が出迎える。“歓声”と書くことができるのが本当に感慨深い……。ご存知の通り、新型コロナウイルスの影響で、約3年間にわたってライブの現場からお客さんの声が奪われていた。しかし、マスクをした状態であれば感情を素直に声に表して構わない状況が、ついに戻ってきたのだ。「始めまっせ~!」、赤飯の言葉を合図に1曲目「鯛獲る」がスタートすると、オメっ子たちは各々のスタイルで高鳴る胸の内を表現していた。オメでたのライブには、素敵な自由がある。激しく盛り上がりたいならば、フロアの前方エリアで興奮を露わにするもよし。じっくり観たいのならば、騒いではいけない不可侵領域、給水所も用意されている“デリケートゾーン”が最適な選択。“デリケートゾーン”から漏れ出て、少し控えめに盛り上がりたい人は、“サイドギャザー”がしっかりと受け止めてくれる。明確なエリア分けをしながら作り上げる穏やかな秩序“思いやりのぶつけ合い”が、このライブでも完璧に実現されていた。



オメっ子が掲げたタオルが大回転する様が壮観だった「踊る世間もええじゃないか」。少子化問題を一気に解決しそうなムードを醸し出していた「あられ雛DANCE!!」も披露された後に迎えた最初の小休止。「今からみなさんにはお寿司になってもらいます」という赤飯の言葉を聞いて、すぐに何をするべきなのか察したオメっ子がフロアを二手に分けた。上手側がシャリ、下手側がネタ――準備が完了してからスタートしたのは「wosushi〜ウォールオブ寿司〜」。ウォール・オブ・デスがお寿司になり、サークルモッシュが回転寿司と化す。こんな超常現象が起こるのは、世界中でオメでたのライブしかないだろう。




激しいヘッドバンギングを誘った「超クソデカマックスビッグ主語」。オメっ子の掛け声が活き活きと響き渡った新曲「一富士二鷹サンライズ」の後、「俺ら腐ってもロックバンドやで! わしらの内側に流れる熱いものを受け取ってくれ! 俺たちもそれなりの覚悟でここに来てる。お前らの覚悟も見せてもらってええか?」とオメっ子を煽った赤飯。悪魔の咆哮のような激しい曲が始まるかと思いきや、スタートしたのは「推しごとメモリアル」……。アグレッシブに煽った後にキュート極まりないこの曲で我々をずっこけさせるのは、半ば恒例だ。赤飯の女性アイドルボイスが冴えわたり、サビでは楽器を置いて全員でダンスし始める様は、何度ライブでも観ても非常にどうかしている。中盤のギターソロの部分で実際に演奏せず、ギター型風船を使って324が当てぶりプレイをするのもお約束だが、このライブでは新機軸が導入されていた。「今日はギターソロを本当に弾こうと思ったの。でも、スタッフさんが風船を膨らませてくれて用意してあるから、誰かこの中でツインギターしたい人?」という324の呼びかけに応えて、挙手した男性のオメっ子が風船を託された。フロア内に作られたサークルが対戦リングと化し、繰り広げられたツインソロのバトル。ペンライトの光の色を324カラーのグリーンに切り替えたオメっ子は、2人に明るい声援を送っていた。



「3年前にいろんなものが変わってしまって……。僕らはやりたくてこの道を選んだんですけど、やりたくて選んだからこそやめるのも簡単だったり、“続けなきゃいけない責任ってどこにあるのかな?”とか、毎日考え続けました。自分たちで選んだからこそ諦めるのが一番怖かったです。この3年間、足を止めずにライブをやり続けて、いろんなことを試して進んできました。その結果、今日を迎えられたと思ってます。本当にありがとうございます! 俺たちはこの3年間、1つだけ忘れなかったからここに来られました!」――ぽにきんぐだむの言葉を経てスタートした「NO MUSIC NO LIFE」は、“音楽って楽しい!”というシンプル極まりない実感が、ステージ上の5人とオメっ子の生命そのものであることを再確認させられる曲だった。EDMテイストのサウンドがトランス状態を誘った「HAKUNA MATATA」。フロア内でクラウドサーフ、リフトが始まった「ふわっふー」。オメっ子たちが掲げたピースサインが、コロナ禍の日々に対する反逆の意志を示しているのを感じた「ザ・レジスタンス」。熱気で満たされたフロアに赤飯がダイブした「スーパー銭湯〜オメの湯〜」。そして「周りを見回してみ? よう覚えとけ。この光景、忘れんなよ。わしらとお前らで一緒に作ってるこの光景が、オメでたい頭でなによりじゃ!」という言葉が添えられた「オメでたい頭でなにより」が、本編を締め括った。この曲の終盤に差し掛かったところで《オメでたい頭でなによりです》という大合唱で包まれたフロアを眺めつつ、「ずっとやりたかったことが1個あって」と言った赤飯。ステージから降りて、作られたサークルの真ん中に立った彼を、「お帰り!」という言葉、歓声、拍手が出迎えた。「ただいま戻りました! オメでたい頭でなによりのフロアに、たった今戻りました。このフロアを作ってるのは、他でもない。お前らやからな! この4月4日が来るまで、俺はずっと我慢してた。お前らとこれをやりたくてずっと我慢してた」――肩を組んだオメっ子たちが歌いながら踊った後は、モッシュタイム。もみくちゃになった“フロアのプリンセス”の赤飯をナイトのように守るオメっ子がいるのが懐かしかった。どれだけこの風景を待ちわびただろう? ライブハウスの平和なバカ騒ぎを取り戻すことができていた。




5月14日に『大寿祭 〜ミト充 原点回帰&町田The Play House 40th Anniversary〜』を開催する旨を発表した後、一旦はステージを後にした5人。しかし、オメっ子が歌い続けた「We will luck you」の一節に応えて戻ってきた。「うるさーい! 黙れー!」とツンデレぶりを発揮した324が嬉しそう。そして「我々も5周年。ライブハウスの夜明けに乾杯して帰りますか?」――ぽにきんぐだむが言い、スタートした「乾杯トゥモロー」が、アンコールの曲だった。324とmaoが上品な桃色の紋章が染め抜かれた旗を振り、ぽにきんぐだむがビールジョッキを模した風船を掲げ、赤飯が高らかに歌い始めると、オメっ子のサムズアップが祝杯のようにフロア内で揺らめいた。ゆっくりと歩きながら人々がサムズアップの盃を交わすウォール・オブ・デス、通称“チンチンウォーク”がとても素敵だった。

こうして終演を迎えた『大寿祭』。制約は残っているので“元の状態に戻った”とは言えないわけだが、現段階で実現可能なことを最大限に注ぎ込んだライブだった。冒頭で引用したぽにきんぐだむの言葉を借りるならば、“新しいライブハウスのあり方”そのものだったと思う。どんなに理不尽な現実が立ちはだかったとしても、我々の大切な場所は誰にも奪うことができない。それを全力で証明することができた『大寿祭』は、今後のオメでたの活動を支える大きな自信に繋がっていくはずだ。



文:田中大


写真: ゆうと。

2023.4.4「大寿祭」新宿LOFT
01. 鯛獲る
02. 踊る世間もええじゃないか
03. あられ雛DANCE!!
04. wosushi〜ウォールオブ寿司〜
05. 超クソデカマックスビッグ主語
06. 一富士二鷹サンライズ
07. 推しごとメモリアル
08. NO MUSIC NO LIFE
09. HAKUNA MATATA
10. ふわっふー
11. ザ・レジスタンス
12. スーパー銭湯〜オメの湯〜
13. オメでたい頭でなにより
ENCORE
01. 乾杯トゥモロー

▼音源を聴く
https://lnk.to/omedeta_bandID

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