オメでたい頭でなにより│オメでたい頭でなにより 公式FC「オメオメCLUB」

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2023.8.29 下北沢シャングリラ「大寿祭 ~結成7周年東名阪ツアー~」オフィシャルライブレポート

2023.09.13

2023.8.29 下北沢シャングリラ
「大寿祭 ~結成7周年東名阪ツアー~」
文:田中大
写真:ゆうと。

ステージを覆っていた幕が左右に分かれ、赤飯(Vo)、ぽにきんぐだむ(Gt&Vo)、324(Gt)、mao(Ba)、ミト充(Dr)が姿を現して迎えた開演。ザ・ドリフターズ「いい湯だな(ビバノン・ロック)」に合わせて身体を揺らす様が、ほのぼのとしたムードを醸し出していたが、突然音楽が止んで爆音が轟いた。「オメでたい頭でなにより、やるぞー!」という赤飯の叫びと共に「スーパー銭湯〜オメの湯〜」がスタートすると、会場内の気温はゾクゾクするほどの急角度で上昇。居ても立っても居られない様子のオメっ子(オメでたファンの呼称)で埋め尽くされたフロアは、完全に異世界と化した。続いて、イントロが始まった瞬間に歓声が上がった「着火繚乱ビンビンビン」。掲げられたたくさんのタオルがヘッドバンギングのように揺れる風景からサウナのような熱気が立ち上っている。男女問わずビンビンビンになりながら無上のエクスタシーを噛み締めていた序盤の2曲は、オメでたの結成7周年公演となる今回の『大寿祭』が大盛り上がりとなることを確信させてくれた。

「本日7歳を迎えました! 7歳とは言っておりますが、3年くらいよくわからない足踏みをしていたので、気持ちは1年目。新米ぺーぺーバンドの気持ちでやらせていただきます。あの頃に戻ったんじゃないぞ。俺たちは生まれ変わったんだ!」とオメっ子に力強く呼びかけたぽにきんぐだむ。「なんやこの熱気は!」と汗を拭った赤飯。早くもライブ後半に差し掛かったかのような様相ではありつつも、会場内のムードは平和そのものなのがオメでたらしい。暴れたり叫んだりはNGだが、手を振るのはOKのデリケートゾーン/デリケートゾーンから漏れ出て適度なペースで盛り上がりたい人のためのサイドギャザー/思う存分盛り上がりたい人のための通常フロア――3つに分かれたエリアそれぞれが、笑顔で満ち溢れていた。


「ワンマンライブのつもりで来てるやつらがいるんじゃないか? ちげえよ! 俺たちとお前たちとの対バン、2マンなんだよ!」と、ぽにきんぐだむが叫んだので、アグレッシブな曲が始まるのかと思いきや……赤飯がラブリーな女性ボイスで歌い始めた大塚愛の曲のカバー「さくらんぼ」。随所でデスボイス、スクリームも炸裂するアブノーマルな高低差は、三半規管がどうにかなりそうな不思議な快感がある。続いて「四畳半フォークリフト」も披露された後に始まった「wosushi〜ウォールオブ寿司〜」は、イントロが奏でられるや否や中央を境にしてフロアの人々が左右に分かれた。上手側の観客がネタ、下手側がシャリとなり、ウォールオブデスによって握り寿司のような素敵な何かを生み出すこの曲は、やはり狂熱のライブハウスがよく似合う。新曲の「ソイヤ!好漢度BOY!」も、今後のライブで存在感を増していくだろう。リフトアップされたオメっ子が神輿のように揺れる風景が、眩しいくらいに輝いていた。



脱げた靴やコインロッカーのカギなどが次々とスタッフに届けられた小休止。盛り上がっている証しでもある落とし物の多さをゲラゲラと笑い合うオメでたの5人とオメっ子にほのぼのとさせられた。そんな場面を経て、324の生誕祭として10月30日、31日に開催される札幌での平日2DAYS公演のチケットの売れ行きに不安がある旨が語られたMCタイム。「最悪、俺の親族で埋める。イトウで60人くらい」と324が言い、オメっ子はざわついていた。「イトウミツヨ!」という声が上がったが、324の本名は「ミツヨ」ではない。唐突に明かされた苗字で妙に盛り上がった後、「お賃金欲しいの~」という赤飯の女性モードのお色気ボイスからスタートした新曲「チン♂アゲ⤴︎交渉中」。人差し指と親指で作る輪っかがフロア内でたくさん揺れる風景が壮観!このハンドサインは我々日本人の間では“お金”を意味するので、曲のテーマは当然ながら賃金に関することだが、なんだかエッチな内容のように聞こえてきたのは、おそらく極度の興奮状態が引き起こした幻影なのであろう。オメでたの7歳を祝福したバースデーソング「VIVA!ハピバ」。ギター型バルーンを手にした観客と324がフロア内で向かい合わせになってギターバトルを繰り広げた「推しごとメモリアル」……片時も目を離せない場面が、その後も連発された。




コロナ禍が続く中、赤飯がプライベートで訪れて心癒されていたのだという秋田県男鹿市。彼のこの土地に対する愛が込められた「the OGAnizer -来訪神-」が披露された後、再び迎えた小休止。フレディ・マーキュリーを彷彿とさせるコール&レスポンスを赤飯はオメっ子と交わし始めたが、「イトーオ!」「ミトーオ!」「マオーオ!」というコールが、「野茂英雄のテーマ HIDE〜O」や王様によるディープ・パープルの日本語カバー「高速道路の星 ~Highway Star~」を経て「すいませーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」という超絶ロングトーンに転じていく様が、シュールであった。そして「3年ぶりにお前らの声聞きたいから、この曲やるぜ!」とぽにきんぐだむが言い、「We will luck you」がスタート。オメっ子の歌声が加わり、大きなエネルギーを帯びていく様にステージ上の5人が心動かされているのが伝わってきた。


赤飯がスタンドマイクをフロアに向かって差し出して大合唱を誘っていた「すばらしい時代」。アルバム『オメでたい頭でなにより3』の収録曲の1つとして受け止めた際は《すばらしい時代に なったもんだ》という一節には皮肉が込められているのを感じたが、ライブで歌う中で別の意味を帯び始めているのだと思う。最早、“希望の歌”と称しても過言ではない。この曲が披露された後、約3年間に亘って続いたコロナ禍について、赤飯が振り返った。「そもそもワシはこういう光景を作りたくてこのバンドを始めて、それをやってはいけなくなったら、どういう曲を作ったらいいのかわからなくなった。子供みたいに騒げるからライブハウスが好きなんや。この前、40歳になりました。人生が80年やったらもう半分終わってんの。我慢するのがもったいないと思うようになった。心の底から楽しいと思ったことをかき集めていかないと、あっという間に人生が終わってしまう……ああ苦しい。酸欠ですわ(笑)。なんでこんな苦しい想いをしてやってんねん? 楽しいし、好きやからに決まってんだろ! すばらしい時代、やって来るんじゃないですか? 俺らだけじゃ無理。お前らがおってくれるからライブもやれてんの。1個1個のライブを全部胸に刻んでから死ぬつもりじゃ! 反撃するぞ!」――この言葉と共に雪崩れ込んだ「ザ・レジスタンス」は、とても感動的だった。集った人々が音楽を共有しながら生むエネルギーは、やはり尊い。ライブハウスで大合唱し、全身全霊で喜びを露わにする行為は、理不尽な世界に対する素敵な反撃であることを再確認できた。



「ワシらとお前ら、全員合わせてオメでたい頭でなによりだー!」という言葉がスタートの合図となった「オメでたい頭でなにより」。掲げられたたくさんのWピースに囲まれたモッシュサークルに降り立った赤飯がもみくちゃにされるのを見て嬉しくなった。ライブを思いっきり楽しめる状況が戻ってきているのが、そんな様子からもよくわかる。赤飯が「オメでたい頭でー!」と言ったのに対して、すぐ隣にいたちびっ子が「なによりー!」というかわいらしい声で返したエンディングもグッときた。温かなコミュニケーションを感じて、胸が熱くなったオメっ子がたくさんいたのではないだろうか。




「6年前にここでワンマンやって、その時は最後まで無事じゃなくて。ばったばった人が倒れてライブが中断。ここでライブをやり終えることができなかった。その時に悔しい想いをして、それでも一緒にやろうと思ってくれたやつらと作ったのがこの曲。ここでお前らと作った曲!」――会場である下北沢シャングリラ(6年前の名称は下北沢ガーデン)に関するエピソードが添えられたラストの曲「スーパー銭湯〜オメの湯〜」は、良い汗をたっぷりとかいた後に浴びるひとっ風呂のような爽快感があった。演奏が終了した後、「3年間いろいろ心配かけてごめんなさい。見ての通り完全復活しました!もう何の心配も要りません。あとは武道館まで突っ走るだけです!そのために次のステージを用意しました!」と、今後の予定を発表したぽにきんぐだむ。『対寿祭』というタイトルが掲げられた公演は、「12月11日・名古屋CLUB QUATTRO、12月12日・渋谷CLUB QUATTRO、12月20日・梅田CLUB QUATTRO」――東名阪を巡る2マンツアーだった。作りたかった風景、空間を急激に取り戻している最近のオメでたの輝きはとんでもない。年内はもちろん、その先の未来も大躍進が続くことになりそうだ。




2023.8.29 下北沢シャングリラ
「大寿祭 ~結成7周年東名阪ツアー~」
01.スーパー銭湯〜オメの湯〜 
02.着火繚乱ビンビンビン
03.さくらんぼ
04.四畳半フォークリフト
05.wosushi〜ウォールオブ寿司〜
06.ソイヤ!好漢度BOY!
07.チン♂アゲ⤴交渉中
08.VIVA!ハピバ
09.推しごとメモリアル
10.the OGAnizer -来訪神-
11.We will luck you
12.すばらしい時代
13.ザ・レジスタンス
14.オメでたい頭でなにより
15.スーパー銭湯〜オメの湯〜



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