オメでたい頭でなにより│オメでたい頭でなにより 公式FC「オメオメCLUB」

オメでたい頭でなにより 公式FC「オメオメCLUB」

オメでたい頭でなにより 公式FC「オメオメCLUB」

   

「着火繚乱ビンビンビン」オフィシャルインタビュー

2023.08.10

――約1年ぶりの新曲リリースですね。

ぽにきんぐだむ:そうなりますね。『オメでたい頭でなにより3』をリリースした後、ツアーを回って、『大寿祭』をやって……っていう感じでしたけど。

赤飯:あっという間やな。

――ツアーは10月2日の松阪M’AXA公演から始まって、年明けまで続きましたが、赤飯さんは初日に自分がずっと苦しんでいたことに気づいて、「さみしかったよお」と泣き崩れましたよね?

赤飯:はい。「こういう光景を作りたいから音楽をやる、バンドをやる、ライブをやる」というのが根源にあって、そこからスタートしたんですけど、それをやれない、やっちゃいけないっていうのは「死ね」と言われているようなもんだったんです。それでも活動を続けていこうとすると気丈に振舞わなければいけないところもあって、つらい気持ちを麻痺させないと前に進めない状況がずっとあったんだと思います。それを初日にまざまざと体感したということですね。

――コロナ禍の期間は、どんな曲を作ったらいいのかわからなくもなっていましたよね?

ぽにきんぐだむ:そうでしたね。それに尽きると思います。やればやるほど、どこに向かってるのかわからなくなる状況でした。でも、僕はお客さんがゼロのところから音楽を始めて、「お客さんは対バン相手とその彼女、もしくは親だけ」みたいな、感じのところから始めたんです。そういうことを思い返せば、コロナの状況下でもEXシアターのライブとかであれだけのお客さんが集まってくれるのは、まだ恵まれてるのかなと思って。

赤飯:間違いない。

ぽにきんぐだむ:だから「夢の追いかけ直し」って思ってます。ゼロからまた追いかけ直す感じで戦ってきていますね。

324:ライブのいろんなことが改善されるようになったのが、アルバムをリリースした後くらい?

ぽにきんぐだむ:うん。そうだった。

324:ツアーの3ヶ所目くらいからは、「マスクをした状態だったら声を出してもOK」みたいな感じになってたと思う。

ぽにきんぐだむ:ライブハウス毎のルールはあったけどね。イベンターさんとかが協力してくださったおかげでできるようになったこともいろいろあったので、感謝しています。

――『オメでたい頭でなにより3』は、どこかほろ苦いトーンが根底にあって、ある意味、「暗いアルバム」とも言える1枚でしたが、ライブハウスでお客さんと様々な曲を共有したことで新しい意味が加わっていく感じもあったんじゃないですか?

ぽにきんぐだむ:「すばらしい時代」は、まさにそうでした。ツアーの後半辺りで闇から光へと変わっていく感覚があったので。 赤飯:たしかにそうだったな。

――あのアルバムのインタビューの際も話しましたけど、一時はバンドが解散しかねない状況にあったじゃないですか?

ぽにきんぐだむ:はい。僕らの中にはこの前のツアーも「これが最後だ」っていう気持ちが、どこかしらにあったんです。

324:ツアー中もそういう気持ちがあったよね?

ぽにきんぐだむ:うん。覚悟を決めて回ってたので。

324:「このツアーで見極めよう」みたいなテンションだったというか。

赤飯:たしかに。

324:「世の中が前に進む気配がないんだったら、これ以上はやれなくない?」みたいな。

――ツアーの序盤辺りは、各地のファンにお別れを告げに行く感じもあったということですか?

赤飯:はい。もちろんお客さんにそんなことは言わなかったですけど、心のどこかにそういう気持ちがあったのはたしかです。

――324さんにとって、コロナ禍はどんな日々でした?

324:俺は他のメンバーほどにはライブにフォーカスした想いがあるわけではなくて、どちらかというと曲を書いたり、自室で作業をしたいタイプなんです。もちろんライブは楽しいし、オメでたのライブが作る景色が見られなくなってたのは悲しかったですけど、楽曲制作にシフトチェンジする感じになってました。でも、それをバンドに昇華するのが難しくて、いろいろ大変だったのが前回のアルバムです。

――コロナ禍の3年間は、試行錯誤も多かったですよね。配信で運動会もやったじゃないですか。

324:やりましたねえ。

――紅白帽をかぶったり、小学生の体操服みたいなものを着ていた姿が思い出されます。

赤飯:苦肉の策でしたね(笑)。

ぽにきんぐだむ:あの頃はまだ、コロナ禍が3ヶ月くらいで終わると思ってたんです。だからああいうバカなことがやれたんですよね。でも、それが2年、3年と続いたので、「運動会をやろう」なんて言ってられない精神状態になったんです。

赤飯:最初の配信ライブの頃も、既に精神的に喰らってるものがあったけど。

ぽにきんぐだむ:ツアーも中止になってたからね。

赤飯:うん。それで「配信でもライブできるやん」みたいな形でやってみたんですけど、やっぱりお客さんが目の前にいてなんぼだって改めて認識したんです。それによって虚無になりました。配信ライブ自体を否定はしないけど。

ぽにきんぐだむ:そういうことを経て、制約がある中でライブをやれるようになったわけですけど、余裕のあるスペースでゆっくり観られる楽しさを感じるようになった人もいたと思うんです。だから今後、コロナ前の感じにそのまますぐに戻るというのはないだろうし、それを全否定する気持ちもないんですけど。

赤飯:ただ、うちらが根源に持ってるもの、作りたい光景は、これからも変わらないんですよね。

――今年の4月4日に新宿ロフトで開催した『大寿祭』は、「新しいライブハウスのあり方をゼロから改めて作っていこう」という主旨でしたよね?

ぽにきんぐだむ:はい。ライブハウス、我々、お客さんが離れてたのを、改めて近づけたいという気持ちで始めたイベントですね。

――新宿ロフトで開催した『大寿祭』は、赤飯さんがフロアに降りてお客さんにもみくちゃにされる――というコロナ前のライブでは恒例になっていたことが久しぶりに解禁された日でもありました。

赤飯:約3年ぶりでしたね。ある種、原点回帰みたいなことでもあったのかもしれないです。「自分たちの本質は何なのか?」っていうのを改めて見つめ直す機会にもなったんだと思います。

ぽにきんぐだむ:『大寿祭』はメンバーのゆかりの地のライブハウスが会場だったり、誰かの生誕祭だったりもして、やりたい曲を誕生日を迎えるメンバーが決めたりしています。いろいろな特別感を盛り込んでいますね。

――レア曲を聴けるライブにもなっているんですね?

324:はい。「やってない曲」は、「やりたくない曲」っていう場合もあるでしょうけど(笑)。

ぽにきんぐだむ:他のメンバーがやりたがらなくても、誰か1人がやりたい曲もあると思うので(笑)。セットリストを任せると、そういう曲が入ってきたりするのが面白いです。

赤飯:レア曲とかもやりつつ、満員のライブハウスで「ほんとに好きでしょうがねえんだよ!」っていう気持ちをぶつけ合える場所になってるのが『大寿祭』ですね。

――お客さんとオメでたがお互いに間近で向き合える規模のライブハウスで開催されているので、チケットをとるのが大変ですけど、その点に関して何か言っておきたいことは?

赤飯:それに関しては、ごめんなさい(笑)。

――(笑)。いろんな面で、種を改めて蒔いている2023年ということですかね?

赤飯:本当にその通りです。もう1回やり直してる感じなので。

――フロアで盛り上がっているお客さんを見て、324さんはどんなことを感じています?

324:俺はあんまり前が見えてないんです(笑)。最前周辺の人たちがぼんやりと見えるだけなので。

――ライブ中は、サングラスを着用しているから?

324:はい。それもあって変化を感じにくくて、コロナ禍を乗り越えられたというのもあるのかもしれない(笑)。

――つまり、オメでたが今後、武道館でライブをする際も「ライブハウス武道館へようこそー!」と、ガチの実感として言えるということですね?

324:そういうことになります(笑)。

――(笑)。ライブハウスで存分に盛り上がれる状況が戻りつつある中で配信リリースされるのが、今回の新曲「着火繚乱ビンビンビン」ということですね。

ぽにきんぐだむ:はい。コロナ禍では絶対に生まれない曲ですね。ライブで思いっきり楽しめないのにこれを作ったら、悲しくなるだけなので。

赤飯:「なんでこれ作った?」ってなりますよね。

324:この曲は、紆余曲折があったんですけど。

ぽにきんぐだむ:もともとは提供する予定の曲だったんです。それがいろいろな事情でなしになりまして。作った時点で「この曲、めちゃくちゃいいな」ってなってたので、「自分たちの曲としてもう一度生まれ変わらせよう」ということになりました。

――歌詞は、書き直したんですか?

ぽにきんぐだむ:いや。ほぼもともとの歌詞と一緒です。

324:歌詞とメロディに関しては、「これはめっちゃいいじゃん!」ってなってたので、勝ち馬に乗るような気分で好き勝手に楽しくできました。

――方向性に関して、何か決めていたことはありました?

324:「この曲で一番大事にしたいのは、キャッチーにすること」という目標を最初に決めました。「オメでたが持ってるいろいろな要素をキャッチーにまとめる」という目標をみんなで共有したので、聴きやすいけど自分たちの色も出たと思います。

――ライブハウスでお客さんと盛り上がっている風景が浮かぶ曲です。《熱波 熱波 熱波 熱波 波!》とか歌っていますが、赤飯さんはライブハウスの熱波師?

赤飯:熱波師というより、サウナストーンかも(笑)。でも、お客さんもサウナストーンみたいな感じだからな。サウナの曲って言ってるわけでもないけど、サウナ感はあるんですよね。でも、これは恋愛の曲なので。

324:サウナがめっちゃ好きだから、サウナにはまった頃から「サウナの曲を書こうよ」ってずっと俺は提案していたんです。でも、「書かない」って言ってましたね。

ぽにきんぐだむ:書かない明確な理由があったんです。僕もサウナが大好きですけど、サウナの曲は求めていないんですよね。

324:だから「サウナをお勧めする曲はどう?」とかも言ったんですけど、それもしっくりこないみたいで。サウナの曲が求められてないっていうのは、僕もすぐに気づきました。流行ってるからサウナをモチーフにした曲は結構世に出てるけど、知れ渡った曲はないので。

赤飯:誰もサウナ大喜利を求めてないっていうこと。

ぽにきんぐだむ:どこにも刺さらない曲になるのがわかってたんです。

324:だから「着火繚乱ビンビンビン」みたいな「サウナをちょっと連想させる」っていうくらいが丁度いいんだと思います。

ぽにきんぐだむ:「スーパー銭湯〜オメの湯〜」のさじ加減が丁度良かったというのがあったので、あの感じを振り返ったんですよね。あの曲はお風呂屋さんとフロアを掛けて、熱湯がライブハウスのイメージと重なったりもしたので。

――「着火繚乱ビンビンビン」は、「恋愛」「ライブハウスが盛り上がる様子」「隠し味のサウナ」の融合系なのかなと思います。

赤飯:あっ、なるほど。これライブハウスのことや。たしかに!

324:歌詞を書いておきながら、なに感心してるの?(笑)。

赤飯:ほんとだ! びっくりした! ライブハウスだ! わりと恋愛のイメージで書いたんやけど、捉え方の多様性がある! 素晴らしい!

ぽにきんぐだむ:「スーパー銭湯〜オメの湯〜2」を作るような意識があったから、ライブハウスの感じが入ったっていうのもあるんだろうね。

324:歌詞を書いてた時、そういうこと話してたよ。

赤飯:ライブハウスって?

324:うん。

赤飯:全く覚えてない(笑)。

324:あと、男根の曲でもあるよね?

赤飯:うん。男根のメタファーも入ってる。まあ、こういう「裸であろうぜ!」っていうのは「ピュアであろうぜ!」っていうことでもあるので。

――何を表現したとしてもエッチな何かが滲み出てしまうのは、オメでたの宿命だと思います。

ぽにきんぐだむ:そういうことをやらないと気が済まないんです。

324:下ネタは、めっちゃ好きだよね? 俺もめっちゃ好きだし。

赤飯:うん。そういうのが自然に出てくるっていうのは、それがバンドのポテンシャルとしてあるってこと。それが得意なんだから、武器をブンブン振り回すのは大事。つまり、これが俺たちの土俵なんです。

――ミト充さんとmaoさんの下ネタに対するスタンスは、どうなんですか?

赤飯:maoは、ムッツリです!

ぽにきんぐだむ:彼は別方向で、めっちゃエッチなので。我々はエッチなのを積極的にひけらかすタイプということです。

324:ミト充もエッチだし、オメでたはみんなエッチです。

――エッチな部分をきちんと香らせていることも含めてですが、オメでたらしい歌詞の表現がいろいろ散りばめられていますね。例えば《へい らっしゃい》は「きなしゃんせ。」の歌詞でも出てきたじゃないですか?

赤飯:ああ、なるほど。

ぽにきんぐだむ:「スシ食いねェ!」(シブがき隊の曲。1986年リリース)を意識してたんですよ。そこから出てきた言葉が嵌ったということだった思います。

赤飯:意図せず「きなしゃんせ。」と被ったっていうことですね。でも、同じ言葉でも雰囲気が違いますね。アルバムを作ってた頃から時間が経って、《へい らっしゃい》の響きが変化したのも前向きに捉えてもらえるんやったら、それはハッピーなことだと思います。

――あと、この曲に関してやはり指摘しておきたいのは……曲中で何回か射精しているニュアンスを感じるという点です。《最初は半信半疑でした》という語りの直前は、まさにそういうポイントなのでは?

赤飯:嘘や!(笑)。

ぽにきんぐだむ:そこの部分の「あああー!」は、僕の家にあるサウナのサウナストーンにロウリュウをして、それをマイクで録ってサンプリングした音を入れてます。

――《そうこれはただの汗なんかじゃない 心の 心の涙なんだ!》も印象的な表現です。「涙は心の汗なんだ」みたいなことはよく言いますが。

324:最初は《涙は心の汗なんだ》だったんですけど、「サウナに入ってる時は逆じゃない?」って俺が言ったんです。サウナは汗が出てるのが普通だから。

赤飯:サウナは内側にあるドロドロしたものを出していくから、《心の涙なんだ!》は、言い得て妙だと思いました。

ぽにきんぐだむ:ととのうと感動するからね?

赤飯:うん。サウナでは、ガチで泣きます。気持ちよ過ぎて。

324:サウナと言えば好きなエピソードがあって。ミトさんがサウナに入ってたら、「刺青を入れた人がいる」っていう通報を受けたスタッフさんが来たけど、それっぽい風貌の人はミトさんしかいなくて。でも、ミトさんは刺青を入れていないんですよ。 ぽにきんぐだむ:入れてる風だから疑われたらしいです。

赤飯:スタッフさんにロックオンされたけど、入れてないから、疑いの眼差しで通り過ぎてサウナの外に出ていく……というコントみたいなことがありました(笑)。

――(笑)。思いっきり盛り上がれて、思いっきり踊れて、思いっきり叫べる仕上がりになった「着火繚乱ビンビンビン」は、やりたいことを全開で形にできた手応えがあるんじゃないですか?

ぽにきんぐだむ:はい。今、めっちゃ曲作りがスムーズなんですよね。

324:「着火繚乱ビンビンビン」に辿り着くまでには、いろいろあったんですけど。ツアーが終って「曲作ろうぜ」なってからすぐにスムーズになったわけでもなくて。その時期は楽曲提供のお話をいくつか頂いたんです。「オメでたらしい曲をお願いします」と。俺らには「こういうのがオメでたらしい」っていうような自覚があったわけではないんですけど、「鯛獲る」みたいに派手で、お祭りっぽくて、和っぽい要素があるものを求められたんですよね。俺らに対して持たれてるパブリックイメージってそれなんだとわかって、それが良さでもあると改めてわかったので、「らしさ」を出した上で研ぎ澄ませてやっていくことになりました。だから楽曲提供のお話に助けられた感じがあったよね?

ぽにきんぐだむ:うん。オファーを頂いて本当に良かったと思う。

――バンド活動を重ねる中で、楽曲制作集団として評価されるようにもなっているということなのかも。

ぽにきんぐだむ:どうなんですかね? でも、楽曲提供のオファーがあるというのは、求められてるものがあるっていうことですよね。そういうイメージみたいなものがあるって再認識しました。

――例えば昭和的な香りは、「オメでたらしさ」みたいなイメージの1つでしょうね。

ぽにきんぐだむ:歌謡曲寄りっていうことだよね?

324:うん。歌謡メロ。赤飯の歌謡メロの歌い回しがすごく好きだから。「着火繚乱ビンビンビン」も、歌謡メロっぽいしね。

――赤飯さんは、歌の随所でこぶしが回る瞬間もありますよね?

赤飯:演歌も好きですからね。おばあちゃん子なんで。

324:ビブラートの下の震わせ方とか、演歌のこぶしの感じだと思う。敢えてやってるでしょ?

赤飯:うん。普段はやらないんだけど。

ぽにきんぐだむ:洋というより和のビブラートだよね。

赤飯:やっぱりそういうのがあるので、そっちを活かして戦った方がいいんですよ。

――パーティーミュージックとしてのテイストも、祭囃子の感じがどことなくあるように思います。雰囲気がカーニバルとかではないんですよね。あと、初めて聴いてもすぐに参加できて楽しめるようにもしていますよね?

赤飯:はい。それを最近の我々は意識しています。とにかくわかりやすくて、初めて聴いた人も一瞬で参加できちゃうようなものでありたいです。

――「乾杯トゥモロー」も、まさにそうでしたよね?

赤飯:はい。

――普段の生活では叫ぶのが恥ずかしい言葉を思いっきり叫んでもらいたいというのもあるでしょ?

赤飯:もちろん(笑)。今回の曲だったら《ビンビンビン》とか。

――《すっぽんぽん》も、叫ぶと気持ちいい言葉です。いつか裸がドレスコードの裸限定GIGとかやれたら楽しいでしょうね。

324:裸OKのライブハウスってあるんですかね?

――上半身裸くらいまでは大丈夫かもしれないですけど、全裸は駄目でしょうね。

赤飯:ヌーディストフロアってこと?

324:汗だくの男がサーフで転がってきたりもするんだよ。「こいつ、足が3本あるぞ!」みたいな。

※あまりにも下ネタが続くので割愛

赤飯:まあ、普通の服装でも、ライブハウスはどこかエッチなんですよ。エクスタシーを感じる場所だから。

――「着火繚乱ビンビンビン」は、そういう雰囲気を含みつつ、赤飯さんの歌唱力も思いっきり発揮されていますね。終盤のスクリームは、限界突破しているじゃないですか。

赤飯:でしょ? 長かったっけ?

324:長い。

赤飯:長いシャウトをするとかっこいいと思い込んでいるんで。チェスター(チェスター・ベニントン/リンキン・パークのボーカリスト)の影響です。

ぽにきんぐだむ:できる人は、そうそうはいないですからね。

赤飯:やれることはやっていくという姿勢です。

――赤飯さんは女声も含めて、多彩な声色で歌えるボーカリストでもありますからね。

赤飯:わしなんてけれんみの塊やと最近思ってるんですよ。だからけれんみのある自分をメンバーに料理してもらうのが一番いいのかなと。そういう体制が整ってきているので。

――歌い手の赤飯さんのバックバンドの「赤飯バンド」から始まったオメでたですし、その原点に改めて立ち還っている感じですかね?

赤飯:そうですね。でも、わしを料理してもらうだけではいけないって気づいてきたこの数年間でもあるんです。自分は「このメッセージをゼロから形にして」っていうよりも「けれんみ装置」。そういう装置として機能する自分に喜びを覚えるところがあるので、曲の本質や伝えたいメッセージみたいなところに関しては、こいつ(324)なんですよね。彼の持ち味、文章やレトリックの妙とかはオメでたの武器なんです。でも、「それだけだと」というのがあるので、自分のけれんみが加わることによってオメでたになっていったら素晴らしいなと思ってます。な? 合ってる?

324:うん。まあ、それぞれの役割があるよね。

ぽにきんぐだむ:ようやくそれぞれの役割分担みたいなことが、上手く回り始めたんだと思います。「着火繚乱ビンビンビン」は、振り付けとか一緒に楽しめるギミックも盛り込んでるので、ライブハウスでお客さんと楽しみたいですね。もうライブでやってるんですけど。

赤飯:やり始めて数回で既に完成してるな?

ぽにきんぐだむ:うん。

赤飯:ライブキッズあるあるも、「新曲、めちゃくちゃいいですね」って言ってたよ。

324:たしかVOI SQUARE CATのメンバーだったと思うけど、この曲をめっちゃ褒めてくれたよね? 「やばいっす! 非の打ちどころがないっす!」って。

赤飯:「そんなに⁉」って思ってびっくりしたけど(笑)。

ぽにきんぐだむ:でも、嬉しかった。

――ライブハウスが好きな人がワクワクする要素が詰まっているから、そういう反応があるんでしょうね。

ぽにきんぐだむ:やっぱり3年間、なかなか思いっきりライブをすることができなくて、やりたいことをやらせてもらえなくて、やっとできるようになったから、やりたいことを曲に自然と詰め込んだということなんでしょうね。

324:それがライブハウスに来るお客さんの「フラストレーションを発散したい」という需要とマッチしてたら嬉しいです。

――今回の曲に関していろいろ語っていただきましたが、何か他に付け加えたいことはありますか?

ぽにきんぐだむ:「スーパー銭湯〜オメの湯〜2」というイメージがあったので、あのMVに出てくれた清水あいりさんが、今回のMVのメインキャストです。4、5年ぶりだと思うんですけど、それもエモかったです。曲への愛着がより湧きました。MVもぜひ観ていただきたいですね。

――バンド内の役割分担がスムーズに回るようになっていると先ほどおっしゃっていましたが、新曲の制作もどんどん進めている状況ですか?

赤飯:はい。ばんばんやってます。今までで一番健全じゃない?

ぽにきんぐだむ:うん。むっちゃスピード感があるし。

324:手応えのある曲が揃ってきているから、そろそろ自由に作るフェイズに入ってもいいくらいになってきています。もちろん失敗もありますけどね。出来上がってレコーディングをする段階になって、「違くね?」ってなることもあるので。とはいえ、しっかりといろいろ進んでいますね。個人的にもここ3年くらいの間で考えてたことを形にできているので、ネタ切れ感がなくて、逆にどんどん湧いています。

――「着火繚乱ビンビンビン」をリリースした後は、渋谷スターラウンジで『大寿祭・赤飯生誕』、大阪ANIMAと名古屋シャングリラ『大寿祭』、下北沢シャングリラで『大寿祭・結成7周年』……8月は『大寿祭』の連続です。

赤飯:こうやってスケジュールを見ると、すごいことになってますね。

ぽにきんぐだむ:結成7周年ですけど、コロナの3年間があったから、4年くらいしか活動していない感覚なんですよね。

赤飯:でも、そういうコロナ禍の中でアルバムを出せたのは、良かったと思う。ある種、ピュアというか。悩んでる部分、葛藤とかもちゃんと形にして出せたのは、ありがたかった。

324:リリースした頃にも話してたことですけど、ああいうアルバムがなかったら、その先でふざけられなかったと思う。自分たちの考えてること、感じてることを表現しておかないと、前に進むことができなかったです。あのアルバムがあって、ツアーをやって、光明が見えたっていう過程を経て、ようやく「こんな曲を出してもいいじゃん?」ってなったんだと思う。

赤飯:いろんな断捨離ができたってことだよね?

324:うん。

赤飯:断捨離をした結果、「結局、あるものでしか戦えない」ってなったんだと思う。

――コロナ禍なんてなかった方が良かったに決まっていますが、あの時期をマイナスのまま過ごすのではなくて、プラスに転じて未来に繋げられたということですね?

ぽにきんぐだむ:そういうことです。だから今回の曲を聴いてもらったら、「帰ってきた!」と感じてもらえると思います。「自由な我々を楽しんでください」っていう感じですかね?

赤飯:うん。「底抜けに自由で」って、オメでたの最初の頃から掲げてたことなんです。改めてそこを取り戻してるっていうことですね。


文:田中大


「着火繚乱ビンビンビン」

●Streaming&Download

https://omedeta.lnk.to/binbinbin


●Music Video

BACK