オメでたい頭でなにより│オメでたい頭でなにより 公式FC「オメオメCLUB」

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「対寿祭」2023.12.12 渋谷CLUB QUATTRO ライブレポート

2023.12.21

12月11日・名古屋CLUB QUATTRO公演に打首獄門同好会、12月12日・渋谷CLUB QUATTRO公演にヒトリエ、12月20日・梅田CLUB QUATTRO公演にヤバイTシャツ屋さん――東名阪で対バンを迎えて行われた2マンツアー『対寿祭』。東京公演の模様をレポートする。

ヒトリエは、「アンノウン・マザーグース」「トーキーダンス」「イメージ」「センスレス・ワンダー」「3分29秒」「ジャガーノート」などを披露。オメでたい頭でなによりと同様、ヒトリエもインターネット文化と縁が深いことに触れつつ、「インターネット二大巨頭と言っても過言ではないと思います」と言っていたシノダ(Vo・G)。「ヒトリエは来年でメジャーデビュー10周年を迎えます。“インターネットからやって来ました”みたいなことを言ってますが、それよりずっと昔からインターネットでやってる人たちにこうやって2マンに誘われて光栄でしかなくて。来年、良い10周年を飾れそうです。ありがとうございます」という言葉を聞いた観客は、大きな拍手で祝福していた。

ヒトリエに続いてステージに登場したオメでたの赤飯(Vo)、ぽにきんぐだむ(G・Vo)、324(G)、mao(B)、ミト充(Dr)。ほのぼのとしたSE、ザ・ドリフターズ「いい湯だな(ビバノン・ロック)」を爆音とシャウトが呑み込み、「インターネットからやって来たオメでたい頭でなによりが、お前らの心を燃やしに来たぜ!」という赤飯の言葉を合図に「着火繚乱ビンビンビン」がスタートした。観客が一斉に掲げた腕がビンビンビンと揺らぐ様が壮観。2曲目「四畳半フォークリフト」は、飛び跳ねながら興奮を露わにする人々が続発していた。



「いきなりここをお寿司屋さんに変えていいですか?」――赤飯の言葉を聞いてフロアを埋め尽くしていた観客は、左右真っ二つに分かれた。上手側がシャリ、下手側がネタとなりながらウォールオブデスが握り寿司、サークルが回転寿司と化した「wosushi ~ウォールオブ寿司~」。そして爆音が轟きまくった「あれこれそれどれ」も届けられた後に迎えた小休止。ぽにきんぐだむが、『対寿祭』の主旨について語った。「コロナの前に戻りたいとか、コロナの前の景色を取り戻したいとか、そういうことじゃなくて、新しいライブハウスのあり方、新しいライブハウスの未来を作るために『大寿祭』を始めました。そして1年間続けた結果、そろそろ次のステージに行こうと思いました。それが対バンイベント『対寿祭』です。コロナの間は満足に対バンイベントを組めませんでした。それぞれのバンドがワンマンで戦ってきた3年間。次のステージは、戦ってきたバンドが手を取り合って新しい未来を作る。その時が来たんじゃないかと思ってます。だからこそ今日、どうしてもヒトリエにいて欲しかった。どんな状況になってもあいつらは音楽をやめなかった。僕たちとあなたたちで新しいイベントの形を作りましょう!」――彼の願っていた空間は、まさしく着々と作り上げられていた。



maoとヒトリエのゆーまおは、中高生時代の同級生であることが明かされて沸き立った観客。「1個訂正したい。インターネットの二大巨頭は米津玄師とAdoだと思う」(ぽにきんぐだむ)。「俺らは地方の二大巨頭(笑)」(赤飯)――そんなやり取りが和やかな笑いを誘った後、深刻な表情を浮かべて想いを吐露した赤飯。「わしは朝起きて、LINEニュースを見てがっくりきたんだ。2023年、今年の漢字は“税”だ。一体どれだけ俺たちから税金をむしり取っていくんだい? 税金は上がれど俺たちのお賃金だけは上がらねえなあ! そこで俺たちは考えた。自分たちのお賃金も、あんたらのお賃金も上がるための曲。天の神様にお祈りするための曲を作った。これはお金の神様への讃美歌なのだ」――そして “税”と書かれた紙をワイルドにビリビリと破り捨てて、もう1つの紙を取り出した。「これからの俺たちが目指す“ゼイ”の字はこっちだ! “贅沢”の“贅”! あんたらのお賃金がどんどん上がって、贅沢にも夜行バスじゃなくて新幹線で遠征しちゃったり、1日2回公演をするバカなバンドのライブにお昼も夜も来ちゃったり、そんな“贅”が皆様のもとに降り注ぎますように! そんな祈りを天の神様に届けようじゃないの。わしが“せーの!”って言ったら、とっても官能的な声の色仕掛けで天の神様に“お賃金欲しいの”と言ってくれ」――赤飯と一緒に観客が放ったセクシーボイスからスタートした「チン♂アゲ⤴交渉中」は、賃上げを求めるオメでたの魂の叫びであると同時に観客が抱えるフラストレーションも鮮やかに代弁していた。社会派バンドとして定評のある彼らがこの曲に託した想いは、不況に喘ぐ日本を動かす力に繋がっていくのかもしれない。



メンバー全員が一斉にアイドルグループのようなダンスパフォーマンスを繰り広げる場面も盛り込まれている「推しごとメモリアル」では、予期していない出来事が起きた。「この中で一番活きがいいというやつ。俺とギターバトルしようぜ!」と324に呼びかけられて挙手した数名の観客の内、一際目立っていたのはセブンイレブンのロゴが染め抜かれたタオルを掲げていた男性。「お前、俺と試合決定!」と指名された彼は、なんとオメでたのライブのお立ち台スポンサーであるセブン&アイ・ネットメディアの代表取締役常務執行役員・中木氏だった。ギターソロを奏でた324と向かい合い、ギター型バルーンでエアプレイを繰り広げた中木氏を「社長! 社長! 社長!」という観客のコールが熱く鼓舞。この共演は事前に仕込まれたものではなかったようだ。演奏が終わった後に「“お前”と言ってしまった……」と少し動揺していた324が可愛らしかった。



「ゆーまおとは中高同級生。高校の時に軽音部を見に行ったんだけど、アニメの第1話くらい廃れてて、不良の先輩2人しかいなくて、その人たちも幽霊部員。俺は軽音部に入るのを諦めた。でも、ゆーまおは軽音部に入って、彼が卒業する頃にはめっちゃ大きい軽音部になってた。今は軽音部の大会で優勝するレベルの強豪校になったの」――maoがゆーまおについて語ったMCタイム。324とゆーまおの顔の細部が非常に似ているというのも話題に上っていた。彼らがレコーディングの現場で一緒になった際、同じような服を着ていたため、どっちがどっちなのかわからなくなったことがあったらしい。そんなエピソードも観客を沸かせてから披露されたのは、「ワールズエンド・ダンスホール」(wowakaが2010年に発表したボーカロイド楽曲。ヒトリエVer.がライブでよく披露されている)。続いて「哀紫電一閃」の爆音が吹き荒れて、ライブはいよいよ佳境へと突入していった。



「4月から『大寿祭』を始めて、ここでしか得られない栄養素というものについて考えておったんだ。その栄養素とは何か? お前らが腹の底から出すその声だ! その声でしか得られない栄養素をチュウチュウしながらバンドマンは生きている。お前らの声をここぞとばかりに……いや。これ見よがしに俺らに聞かせて欲しい」と赤飯が言い、1985年に開催された『LIVE AID』でのクイーンのフレディ・マーキュリーと観客を彷彿とさせるコール&レスポンスを経て、「We will luck you」がスタート。大合唱の輪がどんどん広がっていく様が感動的だった。そして「すばらしい時代」も披露した後、ステージから見える景色について語った赤飯。「声を出して、モッシュして、ダイブできるようになりました。それが当たり前やった時代があって、それが全部なくなって、そして新しい形に戻ってきて。どうして人間というのは失くしてからじゃないと大切さに気づけないのだろうという安っぽい歌詞のようなことを考えながら2、3年、悶々としておりました。ええ顔でお前らが汗かいて、声出して、それを目の前で見られてるっていうのは、完全に俺たちのライブハウスが今ここに存在してるっていうこと。俺らは今、間違いなく反撃できているんだなと感じています。そしてまだまだこんなもので済むはずがないんです。まだ序章です。だって、お前ら、もっとすげえ光景で騒ぎたいんじゃないの? 反撃の狼煙を今日、渋谷CLUB QUATTROでブチ上げろ!」――この言葉を受け止めて観客が掲げた拳が、いつしか明るいピースサインと化した「ザ・レジスタンス」は、ライブハウスのカルチャーが理不尽な現実の前に屈しなかったことを堂々と示していた。



クラウドサーフが起こりまくっていた「スーパー銭湯~オメの湯~」。そして、「この光景を忘れるな! わしらとお前らで一緒に作ったこの瞬間、この空間。それがオメでたい頭でなによりなんじゃい!」という赤飯の言葉と共にスタートした「オメでたい頭でなにより」がラストを飾った。演奏が終盤に差し掛かった時、フロア内のサークルピットを指差して「これが今日の元気玉です。元気玉の真ん中にはコアが必要なんです。そのコアとなるのがもちろんわしです」と言い、男性客の肩車でステージから元気玉の中心へ移動した赤飯。肩車された2人の男児も合流してフレッシュさを増したコアを、たくさんの屈強な男性客が取り囲んでガードした。こんなにも大量のマッチョメンは、一体どこから突然湧いてきたのだろうか? そんな素朴な疑問を抱きつつ雪崩れ込んだモッシュは、とても激しかった。そして「オメでたい頭で!」と高らかに叫んだ赤飯。肩車されていた男児が「なにより~」と返して迎えたエンディングが温かかった。


ヒトリエとオメでたがステージ上に並んで記念撮影。そして「これが俺たちの新しい未来だぞ!」(ぽにきんぐだむ)。「わしらはいつだってライブハウスにいますよ! じゃあなあ、バカどもー!」(赤飯)――2人の声が響き渡って迎えた終演。燦然と輝いていた両バンドの姿が、あれから数日経った今もありありと思い出される。インターネットでの活動から始めた面々によって結成された両バンドがライブハウスで輝いている様を目の当たりにして、とても嬉しい気持ちになった『対寿祭』の東京公演だった。



文:田中大
写真:ゆうと。


オメでたい頭でなにより
東名阪クアトロ2マンツアー
「対寿祭」
2023.12.12 渋谷CLUB QUATTRO
w/ヒトリエ

-SETLIST-
1.着火繚乱ビンビンビン
2.四畳半フォークリフト
3.wosushi〜ウォールオブ寿司〜
4.あれこれそれどれ
4.チン♂アゲ⤴︎交渉中
5.推しごとメモリアル
6.ワールズエンドダンスホール(カバー)
7.哀紫電一閃
8.we will luck you
9.すばらしい時代
10.ザ・レジスタンス
11.スーパー銭湯〜オメの湯〜
12. オメでたい頭でなにより


2024.1.24 Release

4th ALBUM「オメでたい頭でなにより4」

特設サイト:https://omedeta.ponycanyon.co.jp/ome4/

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